他院や検診で狭隅角(きょうぐうかく)を指摘され、治療の相談に来られる方がおられますので、狭隅角とそれに続く急性緑内障について説明します。
まず、隅角(ぐうかく)という単語についてです。眼球の中の水は、毛様体(もうようたい)という部分から新しい水が産生され、角膜と虹彩の隙間から外に排出されます。その排出口の名前を隅角といいます。
もし、その排出口である隅角が狭くなって、最終的に閉鎖してしまったら、産生された水の出口がなくなるので、目がパンパンに膨らんだ状態になります。この、隅角が狭い状態を狭隅角(きょうぐうかく)、狭隅角が行き過ぎて詰まってしまった状態が閉塞隅角緑内障です。
写真1:矢印の部分の虹彩と角膜がほぼ触れ合う状態になっており、閉塞隅角の状態となっている。即日手術の必要がある。
閉塞隅角緑内障を発症した場合は、できるだけ早く眼圧を下げることが必要で、その処置には大きく2種類あります。1つはレーザー手術、もう1つは白内障手術です。
以前はレーザー虹彩切開術という手術で、虹彩に穴をあけて水の出口を作ることで眼圧を下げていましたが、手術後に 水疱性角膜症(すいほうせいかくまくしょう)という合併症が起きることがあり、最近ではあまり行われていません。
写真2: 水疱性角膜症。レーザー虹彩切開術により矢印部分に穴をあけている。水の出口を作成することで緑内障は落ち着いたが、角膜がしわしわになって視力はほとんど出ない。
これに代わり最近では白内障手術が急性緑内障の治療のスタンダードになっています。元々の人間の水晶体は分厚く眼内でかなりの体積をとるので、それを薄い人工レンズに変えることで隅角が開き閉塞隅角緑内障になりづらい目になります。最近では非常に安全に白内障手術を行えるので、レーザーで起こるようなひどい角膜障害が起きることはまずありません。
図2:左図のように水晶体が分厚いので、右図のような人工レンズに入れ替えると隅角が開いて急性緑内障が治る。
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